Tiramisu郵便

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

たまごやき記念日

小学校五年生の時、
九州から神奈川のとある町に
引っ越してきた。

高いビルばかりで驚いた。
タクシーから見える景色に、
「うわー、都会だねえ。
 すごいねえ。すごいねえ。」なんて言って、
母に「シー」と言われた。
浮浪者と言われる人たちを見るのも
初めてで、ものすごく戸惑った。

「ぼやっと歩いてると、
 こわいおじさんにぶつかるぞ。」
と父に言われ、駅前のアーケードを
びくびくしながら家族で歩いた。
入った中華料理屋で、
普段泣かない姉がしくしく泣いていた。
私たち家族はものすごく緊張していた。

小学校では、方言がおもしろい、
と言われたけど、
あっという間に方言は消えてしまい、
ちょっと寂しいなあ、と思った。

確かその年、大山というところに遠足に行った。
そこで食べた、
母のたまごやきが忘れられない。
母が朝焼いてくれた姿が浮かんだ。
『あ~、おいしい。
 お母さん、ありがとう。』
とこっそり涙ぐんだ。

「りんご、食べる?」
友達が言ってくれた。
ちょっと塩の味がするそのりんごも
おいしかった。
その後、その子とは親友になった。


「たまごやき」と言うと、
この遠足を思い出す。
あの時の緊張感と、
たまごやきを食べて、
ゆるんだ気持ちと。

だから、たまごやきには格別な思いがあるのです。

しかし、

息子のお弁当に、たまごやきを入れたら、
「これ、いれないで。すきじゃない。」
と言う。しかも一度ではない。

しばらく入れなかったけど、
今日のお弁当に入れてみた。
ちょっとお砂糖多めで。

帰ってくるなり、
「ねー、おかあさん。
 たまごやき、めっちゃおいしかった。
 もっとたべたかった。」
だって。

本当に嬉しい。

良かったー!