おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

ホクロ

『あれ、あの子、
 目の下にホクロがある!』
丸い大きめのホクロのある女の子。
学生の頃、ふと横を見たら、
その子が座っていた。
一度しか見かけたことはないけれど。
ホクロがあることで、
その子はとてもかわいく、
印象的だと思った。

取らなきゃよかったのかもなあ。
とその時思った。

私には目の下に大きめのホクロがあった。
昨晩、寝ようとしたら、ふと思い出した。
もう右にあったのか左にあったのか
忘れるほどだけど、
4ミリ縫ってもらった。

このホクロにまつわる出来事の
記憶は鮮明で。

幼稚園に入って、男の子に、
ウンコがついてる、とか言われた。
それくらいちょっと大きめのホクロ。

私の顔は、このホクロがあることで、
他の人と違うんだ、ということを
意識するようになった。

スーパーで、買い物をしていて、
私はホクロがある目を覆いながら、
母の後をついて歩いた。

今、思えばさ、
ホクロなんて気にすることなかった。
けれど、このホクロなきゃいいのに、
と思うことが多くなって、
母にいろいろ言っていたらしい。

母は心を痛めていたんだと思う。
ある時、
「ホクロ取ろうか」
と言ってくれた。
小学校二年生の時だ。

たしか大きな市立病院で、
手術用の服に着替えて、
手術台に乗って、
ピカッと大きなライトが光ったところまで、
記憶がある。

終わって、ちょっと寒くて、
みんなによく頑張ったね、とか言われた。

母が自販機でリンゴジュースを買ってくれた。
もうホクロがないんだ、と自分の感情が
どれかよく分からない状況で飲んだ。

ホクロがなくなってからの
学校の出来事はあんまりよく覚えてない。

ああ、あの目の下にホクロのある
あの子、ではなくなった。

ホクロは紛れもなく、
私の一部分だったんだな、と思う。

あの時の選択は、誤ってないと思う。
私のホクロは成長と共に、
大きくなる可能性があったそうだし。

だけど、
他の人とちょっと違う何かは、
印象に残すこともできるんだと思う。
他の人と一緒になりたい、と思うことは、
自分らしさが、消えてしまうことでもある。

学生の頃に出会ったあの女の子だって、
もしかしたら悩んだ時期も
あったかもしれない。
私にホクロがあったら、
わー、同じですね!
って話しかけられたんだけどな。

ホクロのこと。
ずっと忘れてたのに、不思議。
私(ホクロ)のこと書いてくれ、
って言いにきたのかな。