Tiramisu郵便

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

時をつかまえる文通

文通相手が1人いる。

彼女は、以前働いていた職場の後輩。

2つ下。何かをやりながら話たりしない子。

ちょっとしたおしゃべりでも、絶対に

体ごと、話している人の方を向いて、

しっかり話を聞く子。貸した本には、

感想を書いた四角い附箋を付けてくれる。

そんな丁寧な彼女。

 

私が休みを取って、フィンランド1人旅を

してくる、と言ったとき、

「ハガキを書いて、送って下さい」

と、住所を書いた附箋を渡された。

 

こんなお願いをしてくる子もいるんだ、

と新鮮だった。よく分からないお土産を

もらうより、ずっといいかもしれない。

ヘルシンキの大きな郵便局には、ハガキ

がたくさん売られていた。オシャレ!と

思いながら選んだことを思い出す。

ホテルの机で書いたんだ。

これが私から彼女への一通目。

 

二通目は年賀状。三通目も年賀状。

何通目までだったかな。ずっと年賀状。

 

私が仕事を辞める、と帰り道、話したとき、

彼女は泣いていた。「え、ほんとですか?」

と言って、頬を伝う涙を静かに手で拭って

いた。彼女を思い出す時、必ず頭にこの

シーンが浮かぶ。泣いてくれるなんて!

 

しばらくして、彼女も仕事を辞めた。

 

ある年の年賀状に、ハガキ書くね、と書い

たら「文通しましょ」と書いてあった。

すごく嬉しかった。

◇◆◇

ある日の彼女のハガキ、

美術館に行きたくて、まだ小さな子ども

二人を連れて行ったそうだ。赤ちゃんは

いつも通り寝てくれるかと思ったら、

泣き出して。上の子は「うん○ー!」、

「とても見るどころではなかったんです」。

ハガキを見ながらニヤニヤ笑った。

◇◆◇

多分彼女もSNSをやっている。

だけど、敢えて、つながっていない。

お互い聞いてもない。

それが私たちの暗黙のルールなんだと思う。

 

時間はどんどん流れていく。

「今」という時は、信じられないスピードで

去っていくように感じてしまう。

今の連続なんだけど、瞬時に過去になる。

時をつかまえてみたい、と時々思う。

 

送られてくるお手紙は、そのどんどん流れて

いく「時」のかけらみたいだと思う。その

時を手ですくい取ることができるような。

 

◆◇◆

今年はたくさん書きたい。

時を、つかまえたい。