おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

水茄子のコンポート

緊張すると、味が分からなくなる。おいしいはずなのにな。お腹ではなく、心がいっぱいになると、ちょっといろいろなことが分からなくなるようです。そんなことが、時々ある。これは器の問題でしょう。私という器。

・・・

隠れ家のようなお店がある。そこなら、きっと、おいしいとみんな食べてくれるはず、と予約の電話をした。女将さんは、私のことを名前を聞いただけで思い出してくれた。

 

初めて行った時は、娘がお腹にいる時。その後は、娘が3ヶ月くらいの時で、女将さんが娘を抱っこしてくれた。娘はドーナツ型のクッションに横になって天井を見たりしていた。最後に行ったのはいつだったかな。まだ娘は小さい赤ちゃんの時。娘を抱っこして「ね、おいしいでしょ」と一緒に行った友人に帰り道、言ったものだ。しばらく行ってなかったのに、女将さん、覚えてくれているなんて。

 

女将さんと電話で三分くらい話しただろうか。女将さんは少なくとも三回は私の名前を読んだよ。五回かな。

 

・・・

 

お話ししながらご飯を食べた。新しく出会えた方々と。多分、その出会いだけで、私の心はいっぱいだったのでしょう。味が分からない、おいしいはずなのに分からない。

 

「デザート。

 今の時期だけね。

 水茄子のコンポート。」

 

女将さんが食事の最後にサービスで出してくれた。一口食べて『ああ、おいしい』と思った。このお店のすごいな、と思うのは、このデザートだ。ありきたりのものなんて出てこなくて、とても丁寧に作られたものが最後に出てくる。味がやっと分かったよ!

 

親方が私の名前を呼んだ。

「これ、天かす。持って帰って。」

 

・・・

 

家に帰って、夕飯を食べていた。リュックにしまったままの「天かす」があるのを思い出した。「そうだ、天かすもらったんだけど、食べる?」「たべるー!」子どもと夫が、白いご飯に天かすをかけて、むしゃむしゃ食べ始めた。ご飯がとまらない。

 

本当にこの天かす、おいしいんだよ。

あのお店は、おいしいんだよ。