おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

感情の激流下り

幸せだった。

 

「このカバン、じゃまー!」

電車の1両目にて。運転するところを見たい息子が叫ぶ。叫ばないでー、と思ったけれど若い運転手さんは振り返って、ニカっと笑ってくれた。カバンをどかしてくれた。たったひと駅の電車の時間。90キロ出ていることを知る。あのガガガというレバーひとつで、スピードが出て、ちゃんと止まる。すごいなあ。

 

電車から降りて、息子と私はお礼を言った。若い運転手さんは私たちを見て、頭を下げてくれた。

 

降りると、いつも最後の車両が通過するまで、手をふる。車掌さんに手をふる。大体手をふりかえしてくれる。これが、本当に嬉しい。多分、私が一番嬉しい。だから、忘れていると、つい言ってしまう。「ほら、車掌さんに手をふらなくていいの?」「車掌さんに見えるようにふらないと、分かんないよ」とか(そこまで言うなら、私が手をふるか)。今日の車掌さんも手をふってくれた。

 

さあ、家に帰ろう、と駅を出た。

今日は蒸し暑い。

 

・・・

 

悲しくなった。

 

エレベーターの前に、しゃがむ大人たちがいた。タバコを吸いながら、飲み物を飲んでいた。しゃべっていた。お酒だったのだろうか。普段、そこでそんな風にしている人がいないから、息子は気になったのか、近くまで行ってしまった。息子の視線を感じた1人の大人は「見られてる、ほら見られてる、行こ」と笑いながら言った。もう1人の大人はめんどくさそうに立ち上がった。そして息子に言い放った。「なんなんだよっ!」と怒鳴りつけた。女の人だった。タバコを投げ捨てて行った。それは何本もあった。

 

息子は、それをただじっと聞いていた。エレベーターに乗り込んだ大人たちを見て、エレベーターの歯車をじっと見ていた。「ほら、行くよ」と息子に声をかけたら、息子はスキップしながらコンビニに入っていった!その切り換えはなんなんですか。私は震えるほど怖くて、あの大人を疑ったというのに。

キミは怖くなかったの?

 

幸せだったことがいっぱいあったのに、

怒鳴り声を聞いたら、

しゅんしゅんしゅんしゅん...

私の心がしぼんでいく。

 

幸せだったんだよ。

なのに、最後に聞いた声があれだと、

悲しい。

 

・・・

 

あ、ちょっと待てよ。最後に聞いた声は、時々会う、犬の散歩の人だったかな。メスのかわいいフレンチブルドック。「この子ね、巨乳なの」と飼い主さんが言っていて、笑った。

 

そうだそうだ、これが最後だ。

良かった、あの飼い主さんと

巨乳のフレンチブルドックに会えて。

 

・・・

 

頭の中が興奮気味で寝付けない。

けれど、横になろう。

寝ると大抵のことは、都合よく忘れる。

 

今日も一日、おつかれさん。

明日は金曜日だ。

明日が、どうか、いい日になりますように。

いい日にしよう。