おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

アイスコーヒーとジンジャーエール

ご近所付き合いが苦手だ。苦手というよりも下手くそ。そう思っていた。そう思っているから距離を取ろうとしがちだし、心も閉ざしがち。ご好意を素直に受け取ることができなかった。

 

例えば、プールをするからおいで、と言われても『うーんどうしようかな』と思ってしまう。近くの人を頼れない私。なぜかというと、私は気がきかない、と思っているから。あの素敵なご近所さんのように、気のきいた差し入れやおしゃべりや気遣いができない。

 

ご近所というのは、心の準備を素早く整えなければならなくて。子どもの声がしたら、子どもはすぐに飛び出す訳だけど、こちらはすぐには飛び出せない。だって、ぼーっとし続けていた後だったりして、現実世界にすぐに戻っていなかったりするから。

でも、今年、甘えてみた。

息子は連日遊びに行った。きゃっきゃっ、きゃっきゃっ、嬉しそうな声が響きわたる。どうしても三人以上ママが集まると、私は何だか会話についていくことに疲れる。それで、ちょっと抜けて「また見に来るからね」と言って家に戻ったりした。抜けたことで、私のことを何か言っていたりするのだろうか、とウジウジ考えながら。

外を見たら、プールに誘ってくれたママが1人で子どもたちを見ていた。とても暑い中見てくれていた。「アイスコーヒー飲む?」と聞いてみた。「いただく!砂糖なしのミルク入りで」と返ってきた。

コーヒーメーカーで急いでアイスコーヒーを作った。コーヒーメーカーだけど、これでコーヒーを淹れて人にあげることが好きだ。銅のひんやりするカップがあって、氷を入れてコーヒーを注ぎミルクを入れた。

「わぁー、冷たい。これ冷たいんだよね」「おいしい!」ご近所さんは言ってくれた。なんだか嬉しかった。「ごちそうさま」と言ってカップを返してくれた時のやさしい顔が心に残る。

次の日、ご近所プールに行く、と言って、また出かける息子。お待たせー!と言って入っていく。人任せでは悪いなと思い、私もその日は外で子どもたちを見ていよう、と決めていた。小川糸さんの『ツバキ文具店』を片手にイスを持ってプールのそばに座る。外にいるママは私だけだった。アスファルトの熱さにビックリする。とても本は読めなかった。

 

プールに誘ってくれたママが出てきて、少しおしゃべりした。私がどっかり座っているのを見て「この子たちが家にいない間、ちょっと掃除機かけてくるね」と言って家に入っていった。掃除機の音が聞こえる。ぼーっとしながら子どもたちのちゃぱちゃぱを見る。

「大人のジンジャーエール。飲んで」

掃除機をかけ終えたママが手渡してくれた。きんきんに冷えた背の高いビールのグラス。「ビールじゃなくてゴメンね」と言われて、笑いながら飲む。

『あー、なんてうまいんだ!!』

私、このジンジャーエールの味、きっと忘れないな、と思った。多分、一生。

アイスコーヒーをあげて、

ジンジャーエールを頂いて。

それで思った。何というか、心がちがちじゃなくてもいいな、と。甘えてもいいな、と。素敵なあの人は、本当に素敵なんだけど、そこと比べてもね。意味ないね。

 

だってね、やっぱり、

私は私でしかないんだものね。


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