おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

受け継ぎたいこと

お店に入ったら、おばちゃんが高校生の女の子としゃべってた。馴染みのお客さんなんだろうな。女の子は、ガラスのショーケースに少しもたれながら前のめりで、おばちゃんにこれからのことを話していた。おばちゃんは「あー、そうー」と女の子の顔を見ながらパン粉をつけていて「で、どうゆう方面にいくの?」と聞いたりしている。女の子は穏やかにニコニコ、ゆっくりしゃべる。この会話が心地良すぎて『あー、この店はいつだって裏切らない』と思って目頭が熱くなる。

 

高校生がゆっくりしゃべっていく場ってありますか?私が高校生の時、町でそんな話をできる大人はいなかったなあ。まあ、私は心を開こうとしない高校生だったからな。

 

この店は、どう考えてもいい店だ。涙がこぼれそうになる。おじちゃんから豚こまを受け取る時、うるうるしてしまって「ありがとうございます」と言うのが言えなかった。ちょっと落ち着いてから「本当にいいお肉屋さんですねえ」と言った。もうそう伝えないわけにはいかなくて。おじちゃんに言い、おばちゃんに言う。ご夫婦が二人そろって見つめてくれる。高校生にも「がんばってね!」と伝えてしまう。高校生は素直な女の子で「ありがとうございます」と伝えてくれる。かわいいなあ。

 

肉屋の後、スーパーによる。また肉屋の前を通ったら、中学生の男の子が店に入っていった。きっとおつかい。夕方のお客さんは大抵フライや唐揚げの注文が多い。きっと今晩のおかず。小さな男の子がお父さんに肩車されて、お母さんと3人でできあがるのを待っている。

 

なんで私はこんなにもこのお店が好きなんだろう。実は分かっている。...これをお肉屋さんに悟られたくないのだけど、あと何年この町をあたたかく見ていてくれるのだろう、そんなことを思ってしまう自分がいる。私が肉屋になることはできないけれど、このあたたかさを、できることなら私も持ちたい。この心は真似なんてできないけれど、真似したい。書きながら、今、そう思う。おじちゃんとおばちゃんが伝えてくれる大事なことを、私は受け継ぎたい。そう勝手に思いこんでいる。