おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

循環バス

おばさん、もしかして目が見えないのかな?一緒にいるのはお姉さん?お姉さんらしき方(仮にお姉さんとする)に急かされてバスに乗るのだけど、おばさんはなかなか席に座れない。座席が見えないのかな?お姉さんがさらに急かして、おばさんはお姉さんに少し怒りをあらわにした。

 

その間息子はなぜか、ずっと鼻歌。おばさんは鼻歌に気づいて「あら歌上手ねえ。おばさん、歌が下手なの」と言う。息子は微笑む。「おばさん、歌が下手なの」また言ってる。何回言っただろう。娘はおばさんに一生懸命話しかける。おばさんは、さっきお姉さんにちょっと怒ったことが恥ずかしかったようで「おばさん、本当は優しいのよ」と言う。おばさんの目がいつの間にか潤んだのが分かった。「おばさん、何にもできないのよ。歌下手なのよ。ダメなのよ」「お金もないし」こんなワードがずっと続く。私たちにずっとそんなことを言う。なのに、子どもたちはニコニコ話しかける。おばさんの目に涙がたまっている。もう今にも泣き出しそうだった。

 

循環バスの運転手さんは、一番丁寧な運転をするおじさんだった。止まる時によく分かる。すーっと止まる。おじさんのこちらを伺う顔がミラーにうつっていた。きっとおばさんのことを心配している。おじさんは、私たちの降りる停留所をちゃんと覚えている。こちらが言わなくても。おじさんは降りる時「ゆっくりでいいからね」といつも言う。

「ありがとうございました」おばさんとお姉さんと運転手さんにそう言って、私たちは降りた。

 

今日のバス、この運転手さんで本当に良かった。きっとあのおばさんたちが降りる時も、優しい言葉をそっとかけることでしょう。