おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

いらっしゃいませ

リサイクルショップというのだろうか。「すみませーん」を三回私は言った。頭にタオルをまいた赤いつなぎのおじさんは、奥に行ったきりなかなか出てこない。店内をぐるりと見回す。はきそうなほど、誰かのいらなくなったものたちが、これでもかこれでもかと壁に積まれている。広い店内にぎゅうぎゅうに並んでいるものたち。表に気になるものがあって(ガチャガチャがあった)、いくらなのかを聞く。「それは売り物じゃないんです」「違うんです」発した言葉はそれだけ。以上。本気で欲しけりゃ正規で買えばいいんだった。


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小さな駅にある小さな本屋に入った。控えめな声で男の店員さんが「いらっしゃいませ」と言う。なぜか丁寧さを感じた。いろいろなものがちょうど良いからだと思う。音量とか言うタイミングとか。店員さんは若い人かと思ったら、お腹の平らなおじさんだった。他のお客さんが来たときも同じように必ず「いらっしゃいませ」と言う。当たり前と言えば当たり前なんだけど、「いらっしゃいませ」を最近言わない人もいる。そんな店が多い気がする。言われないとなんだかさみしいもんだな、とけっこう実は思っていて。だから嬉しいなと思った。

おじいさんがレジでこの控えめな店員さんに話したいことをひたすら話していた。この発売日はいついつだと思うんだ!と。店員さんは静かに相づちを打ち、ひたすら聞いている。おじいさんはすっきりして「じゃ」と言って出て行った。ここの常連さんなんだろう。

 

樹木希林さんの本が欲しいと思っていた。本屋で何度も手に取ってきた。3回目のあの店員さんの「いらっしゃいませ」を聞いてこの店で買おう、と思った。ついに買う店が決まった。「カバーかけますか」と店員さん。謎のオジサンがコーヒーを飲みながら本を読んでいるイラストが書いてあるカバーをかけてくれた。いい店で買えて良かったと思う。あの店員さんはきっと、明日も真面目にお客さんに「いらっしゃいませ」を言い続けるんだろうな。「いらっしゃいませ」ってなんて大事な言葉なんだろう。私も「いらっしゃいませ」をたったひとことの挨拶を心をこめて言いたいものだ!