おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

父と母

父としゃべる。

10分はしゃべった。

いつも二言、三言で終わる。

久しぶりだ。こんなにしゃべるのは。

元気そうで良かった。

父は時々涙ぐむときがある。

それを見ると、ああ、とたまらなくなる。

父と同じような背格好の人や

白髪頭の人を見ると、

鼻がつんとしてちょっと泣きたくなる。

 

父と母がしゃべっていた。

 

しゃべっていた。

しゃべるんだなあ。

へえ。

 

母は、私と父がしゃべるのが

本当に嫌そうだった。

そこは相変わらず変わらない。

 

気を使いすり減らしたあの頃。

あの頃の私がやっぱり

私の真ん中にいる。

びくびくしている自分がいる。

あの野暮ったい十代の女の子が

どうしていいか分からずに、

かなしい目をしている。

つらかったね。

 

母は、こうして欲しい、と

伝えてきた。はっきり言ってくれて

良かったと思った。

別に大した話しではないんだけど、

なにか言われることを恐れていたから、

かなり身構えていて。

親というのは、一番気を使って

接しなければいけない人だった。

再認識した。

許される、と勘違いしていることが

お互いに、実は多いのかもしれない。

 

「今日は来てくれてありがとう」

すっきりしたのか、

母の顔が柔らかくなって

それを見たら、

私は泣きそうになって、

結局涙が出た。

母にはかなわない。

 

「ほら、笑って」

母はドア越しに笑った。

私はまるで小学生の女の子。

 

しばらく泣きながら歩いた。

麦わら帽子なんて

もう終わりなんだろうけど、

目深にかぶって駅まで歩く。

なんで泣いてるのか分からない。

 

私はやっぱりあの父とあの母が

好きだなあ。あの変わった親が

好きなんだと思う。

 

昨日の空虚さを忘れた日だった。