おはようティラミス

「私をひっぱりあげて」くれる数々のことを、綴ってみることにしました。

こんばんは

「おじさん、いるかな」

 

疲れた。あー、疲れた。

そう思った時に、見たくなる。

 

いた!

 

むわっとする夜道。

お店のあかりにふらふらと吸い寄せられる。

あれみたい。虫みたい。

あかりの下に集まる、あの夜の虫。

おじさんの店の前に自転車をとめる。

ガラス越しに3人で

代わる代わる声をかける。

「こんばんは」と息子。

「もっと大きな声で言わないと、

 気づかないよ」と私。

「こんばんはー!」と息子。

「コンバンワ」と娘。

「こんばんは」と私。

 

おじさん、何かつまんでる。

口がもごもごしながら、

お店の片付けしてる。

ぱっと目を上げた。

にこーっ。

 

手をふる子どもたち。

私まで、手をふった。

 

おじさんが、

ハハハと笑いながら、

「こんばんは」と手をふってくれる。

ちょっとじゃない。

しばらく。

 

嬉しい。

頭を下げて、自転車を漕ぎ出す。

 

「こんばんは」とご近所さん。

断トツ感じのよいご近所さん。

「あ、こんばんは」と私。

見られちゃったな。

 

こんばんは こんばんは こんばんは

 

家のドアを開けても、

むわーっと暑かったけれど、

 

この今だって、

頭の中が何だかぱんぱんで、

寝付けなくなったわけだけど、

 

こんばんは

 

を思い出したら、心に火が灯る。

 

そんな人が町にいるって、

「こんばんは」と言えるって、

なんて幸せなことでしょうか。

 

あのおじさんとの挨拶は格別だけど。

山のようになったらいいなあ。

山では必ず挨拶を交わすように、

そんな町になったら、

きっと、しぼんだ心は、

自分でふくらませることができる。

 

ちょっと、ほうじ茶を飲みましょう。

そんなことを思う、真夜中2:39分。